■ 時代を見据え、新鮮な感動を提供 ■

<日本繊維新聞掲載>

歌と衣裳との統一感・生命に流れる美意識

きものトーク
歌 手:香西かおりさん ( こうざい・かおり )
  1. 大阪生まれ。
  2. 11歳のころから民謡教室に通い、民謡コンクールで実力を発揮。
  3. 86年上京し作曲家聖川湧氏に師事、演歌の勉強に取り組む。
  4. 88年ワーナーパイオニアから『雨酒場』でデビュー。
  5. 92年ポリドールレコード移籍。
  6. 93年『無言坂』で「第35回日本レコード大賞」大賞受賞。
  7. 受賞作品多数。現在、本人作詞の『すき』が好評売れ行き。
染織プロデューサー:山 本 貢 ( やまもと・みつぐ )
  1. 京都生まれ。
  2. 京都の染め、織りに携わる職人の優れた感性、技を一つの作品に仕上げ、
    ブランド「平安五彩」を提唱する染織プロデューサー。
  3. 90年創作工房(株)千尋庵設立。
  4. 94年皇太子妃殿下雅子さまの和装バッグデザイン制作。
  5. 95年「平安五彩展 IN パリ」
  6. 96年2月東京国立劇場きものショー「雪月花を謳う」
  7. 同年より、香西かおりきものプロデュース。
  8. ミスきもの '97 振袖創作
  9. 日本デザイン協会(NDK)正会員。



山本:
香西さんとの出逢いは平成8年、東京国立劇場で行われた「雪月花」という きものショー がきっかけでしたね。 ある方の紹介でゲストとして参加していただいたわけですが、「雪月花」という私自身こだわった永遠のテーマに、香西さんのイメージを踏まえた上できものショーをつくりあげていったものです。 そのときのきものは、『宇治川哀歌』のジャケットに使っていただいております。
香西:
私のイメージや色、作品と統一感があり、歌の世界と同化しているきものがあることは(意識の上で)楽です。 歌の作品が決まりつつある段階で常にコミュニケーションを取り合い、綿密に打ち合わせをすることで、お互いのイメージにより近いものがつくりあげるのでしょう。
山本:
一つのイメージ設定の中でいろんな図案を起こしますが、ライティング効果も充分に考慮せねばなりません。 歌い手のイメージをパワフルに伝えようと、色には特に気をつかいます。
香西:
ライティングで全然違ってきますので、きものの本来持っている良さが出てこないともったいないですし、また舞台映えだけで品がなくなるのもいけないので、素材にもこだわって いただいていますね。
山本:
お会いするたびに思うのですが、香西さんは、決して構えることなくいつも自然体なんですね。 それでいて凛とした雰囲気を持っておられる。 どういったきものが似合うというよりも本当に不思議な人で、何でも溶け込ませるというか…。
香西:
洋服もきものも着る気持ちで着ないと、着られちゃうとダメですよね。 パーティ にお招きいただいたときなどプライベートでもきものを着ますが、似合うんだと思って着る姿勢が大事です。
山本:
デビュー10周年にあたり、香西さんが作詞を手掛けた曲も好評ですね。
香西:
『すき』というバラード系の曲ですが、ドラマの主題歌にもなり、今までファン層の中では馴染みの薄かった20代から40代に受けているようです。 ただ、これでポップスに行っちゃうということではありません。私はきものを着て演歌を歌う歌い手です。 ボーカリストとして、いろんなジャンルのものを取り入れながら、常に新鮮なものを投げかけていくという精神でやっていきたいと思います。 たとえば、きもののように基本的なものは変わらないにしても、素材だとか 、柄とかはその年代年代で違ってくるのと同じで、歌もいろんなイメージのものがあってもいいと思います。
山本:
香西さんが演歌というポジションなら、私の場合は染めと織りを基本とした京都が軸です。 それは、京都らしいもの を外へ発信するよりも生命に流れる美意識でとらえる。
ヨーロッパ、イスラム、アジアなど、むしろ外側のグローバルな尺度で見てみようという姿勢 です。 染め、織りの技法と日本の伝統的なデザインを時代にどう合わせて応用していくか―京都の別名である平安になぞらえた私のブランド『平安五彩』は、きものという域を超えて空間をも演出していきたいというのが私の想いであり、これからの課題でもあります。 香西さんは演歌という軸をもっておられる。 香西さんの声には愛があり、深さがあるように感じます。 これからも新しい風を起こしていく歌い手として、さらなる活躍を期待しております。
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